7つの光の方へ

ブログタイトル変えました

「ねむのきさん」のお話

神山智洋さん主演の舞台LUNGSを観る事が決まったあと、
LUNGSの演出をされる谷賢一さんの所属劇団劇団DULL-COLORED POPさんの『丘の上、ねむの木産婦人科』の公演情報をフォロワーさんにシェアして頂いた。

https://www.dcpop.org/vol23/

神ちゃんの舞台を観るにあたってなにかリンクする所もあるのかな〜という興味と谷賢一さんの作られるお芝居を見た事がなかったので観てみたくて、配信を観劇した。

内容はリンク先にも書かれているけれど、
街にひとつだけある産婦人科「ねむのきさん」に集まるいくつかのカップルのお話がオムニバス形式で描かれてる。

この作品を見て思う事が沢山あっていつか文章にまとめたいなと思ったまま、気づけば1ヶ月以上経ってしまった。

いよいよLUNGSの幕が開くということで、思い立ってこの文書を書いています。

以下、本当につらつらと感想、駄文ですみません……。
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私には子どもが2人居る。
だからこそ理解出来る、あるあるなエピソードも多くて今の私だからこそ見ていてここまでグッとくるのかも知れないなとも思った。

子どもを作ることは、夫婦になったら当たり前な出来事みたいなイメージがあるし、下世話な事柄も紐付けられてしまうこともあるからあまり詳細なことって語られない気がするのだけど、
実際結婚して、周りに結婚した人も多いと、ひとくちに「こどもを持つこと」「こづくり」と言っても千差万別、カップル毎にエピソードがあるのが痛いほど分かった。
そして、これには正解がない。
こうするのが正解、とかこの通りにしていればOKというのがないんだよな。どの道を選んでもそれなりにめんどくさい。
なんかそんな事を目の当たりにさせられる作品だった。

子どもを持つことってカップル2人にとっての事なのに何故か基本的に女性がメインになるよね。
どのエピソードも結構女の人が問題に対峙していて男性は他人事、もしくは女性の意思に従うのを是としている。
女性がパートナーと対話してぶつかって乗り越えていくパターンが多かった。
男の人ってなんでこんなにどこか他人事なんだろ…て我が家の事を振り返りながら考えたり、
でも女性だって、自分に降りかかる出来事以外には他人事なのかもしれないな…と省みたりした。
各エピソードで時々カップル以外の他者の声が現れるんだけど、その声は見当ハズレだったり本当に外野の言葉なんだよな…。

その中で反出生主義の女性が出て来るエピソードで男性が言った「分かり合えないかもしれないから話し合える」
というようなセリフ(うろ覚えなので違っていたらごめんなさい)を聞いて、納得した。
子どもを持つこと、持たないこと、産むこと、産まないこと、育てること、選択すべき時が来て初めて自分事になる。
そして相手と対話して行かなきゃならない。
「分かり合えない」ことや「分かり合える」ことを確かめるために話し合う事が必要なんだな……ってなんだか深くズシンと心に刻まれた。
多分これってこどもにまつわる事柄に限らず全てにおいてだよね、話し合わないで分かり合えたら良いけどそんなの無理だもんなあ…(遠い目)(はあめんどくさ)
そして対話するためには声をあげることが大事なんだよなあ。、第一声をあげないと対話も始まらないし理解し合うことも理解し合えないと気づく事も出来ない。(ますますめんどくさ)

いくつか心に残ったシーンはあるけれど一番心を抉られたのは不妊治療する高齢カップルの話。
我が家もなかなか授からないカップルだったので、あまりにも会話のひとつひとつが痛くて冷静に聞いていられなくてたまらない気持ちになった。
私も「なぜ子どもが欲しいのか」をしつこすぎるほど考えたなー(舞台のカップルほどの高度治療はしなかったけれど)。
彼女たちの話を見て、不妊治療中のモヤモヤしていた気持ちを思い出して苦い気持ちになった。そしてちゃんとセリフとして俳優さんに言葉にしてもらって救われた気がした!よかった。

そしてもうひとつ、現在から50年前と50年後、過去と未来のエピソードが印象に残ってる。
50年前のお話では、予定日を過ぎて陣痛が来ないなんて…とか、帝王切開なんてとんでもない、とか。今より「結婚=嫁ぐ」という意識も強かっただろうし当時の妊婦さんは過ごしづらかっただろうな…と苦しくなっちゃった。
とはいえ50年経った現在だって問題はいくらでもあって。
更に現在から50年経った未来、舞台では同性同士や1人で「子どもを持つ」ことの可能性を示唆する演出になっていて希望を感じた。妊娠の多様性、子どもを欲しい人が子どもを授かることができる未来になればいいな。けど、きっと50年後もきっと問題はある。
子どもを作るについてだけじゃなくて、いざ子供が出来てから産むまで、そして産まれてから育てる時も、問題は尽きないだろうな。
その時はまた問題に直面している人が声を上げて対話して乗り越えなくちゃならないな。

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数年前に子どもが産まれて、最近めっきりお芝居観に行けてなかったけど、面白いお芝居に出会えて良かった。多分10年前だったらあんまりピンと来なかった内容かもしれない。
欲を言えば同世代の人達、ママ友とか子持ちの人とこの作品を観て語り合いたかったんだよなあー。
そもそも観劇って敷居が高いし子持ちの人って更に観劇って難しいし、本当にこの作品が届いて欲しい(って勝手に私が思っちゃってるだけだけど)層に、演劇って届きにくいよなぁって寂しくなっちゃった。
それはこの作品に限ったことじゃないけど、子供ができてから観た数少ない観劇作品で「今出会えて良かった」って思えるものも多いから…。
もっと色んな世代、環境にいる人がお芝居見られるようになったらいいのになあ…話ズレましたぴえん。

さて、これを書いてる2021年11月2日現在、まだLUNGSが始まっていなくて(大阪公演は明日から!)、慌てて書いたので長文乱文失礼しました。
LUNGS、どんなお話かな、楽しみだな、思いを馳せながら。

おしまい。